第12回 The Cosmic Children 〜Surf Movie

第12回 The Cosmic Children 〜Surf Movie

フリーライドの”Zero to Sixty in Five”にしろ、ファイブサマーストーリーズの”Blue of Your Backdrop”にしろ、名作と呼ばれる作品の最初のシーンと音楽はどれも傑作だと思います。このコスミック・チルドレンではデイブ・ブルーベックの名曲”Take Five”の曲に乗せてデビッド・ヌヒワのハンティントンビーチのシングルフィン・ショートボードのサーフィンから始まります。

The Cosmic Children 映像より

ハル・ジェプセン監督の第1作目”The Cosmic Children”の見どころ

その1 マリブビーチのローカル J ・リドルの多彩なサーフィン
ドライブターンあり、サイドスリップからの360度ありのシングルフィンテクニックが満載。
Matt Warshaw著「サーフィン百科事典」によると、J・リドルのサーフィンが見られる映像は少なく、貴重な作品です。

このJ・リドル、映画”Big Wednesday”で主役のマット(ジャン・マイケル・ヴィンセント)のサーフスタントを担当していました。ちなみにジャック役をピーター・タウネンド、リロイ役をイアン・カーンズが担当していました。

その2 ジェフ・ハックマンのサンセットビーチでのボトムターン
サンセットの長いスロープを降り切ってもなお、その先まで行ってからの秀逸ボトムターンはシングルフィンサーファーにとってはお手本のようなボトムターン。

その3 ジャズ、ブルース、ロックの名曲とスーパースターたちの共演。
中々今では不可能な選曲はハル・ジェプセンのセンスを感じます。使用曲、思いつくところで書きますと…Dave Brubeck(Take Five), The Byrds(Wasn’t Born to Follow), John Mayall(Room to Move), Jothro Tull(Bouree), Rolling Stones(Sympathy of the Devil), Chambers Brothers(Love, Peace and Happiness), Cream(White Room) etc.

Cosmic Children Poster 筆者所有

Title: The Cosmic Children
Year: 1970
Size: 24×38 cm
Producer: Hal Jepsen
Artist:
Origin: U.S. Issue: U.S.

このポスター、アーティストは不明で、しかも何が描かれているかよく判らないですが、ハレイワでのジェフ・ハックマンのボトムターンがモデルになっています(本編に同じシーンが出てきます)。
そして上映場所がアリゾナ州立大学。アリゾナ州って海に面していないはずですが…と思いましたら、アメリカで最初の人工サーフィン場”Big Surf Waterpark”があるんですね。ちょうど上映少し前の69年にオープンしています。ハル・ジェプセンの次作”A Sea for Yourself”でこのプールを紹介していて、J・リドルが自身のサーフボード、”ナチュラルプログレション”の短いツインフィンでトリッキーなサーフィンを披露しています。(終)