第1回 サーフィン映画って

第1回 サーフィン映画って
2020-01-23

サーフィン映画というと、”ビッグウエンズデー”や”ハート・ブルー(Point Break)”を思い起こす人が多いかもしれません。ここでは上映用16mm以上のフィルム作品でサーフィン ドキュメンタリーを「サーフィン 映画(Surf Movie)」と呼ぶことにします。”ビッグウエンズデー”などはサーフィンをテーマにしたドラマ作品で、ここで言うサーフィン映画ではありません。またサーフィン ドキュメンタリーでもビデオ作品は除くことにします。今の技術で作られたビデオ作品の画像や音質は素晴らしいですが、フィルム作品にはアナログ的な良さがあります。

ドラマ的ストーリー展開がないので、BGMに乗ってサーフィンする映像がひたすら繰り返されることになります。アニメやスケートボード、ハンググライダーなどの場面が挿入される作品もありますが、時折ナレーションが入るだけですので、映像とBGMは作品の重要なファクターになります。もちろんサーファーと波が主役であることは間違いありません。

記録によれば、最初の作品は1953年バド・ブラウンが製作した”Hawaiian Surfing Movie”となっています。また最後の作品は1991年スコット・ディトリッチ製作の”Rolling Thunder”と言われてます。その間38年間で約250作品が作られました。その多くは映画館での上映ではなく、サーフポイント近くの公民館、学校などを借りて、移動上映をしていました。これは日本でも同じで湘南ですと藤沢市民会館、東京ですと九段会館などで上映されていました。アメリカでは60年代半ばまでは製作者自ら会場を確保し、フィルムを回し、ナレーションまでしていました。

サーフィン 映画の特徴として、同じ作品が毎年わずかに変わることが挙げられます。サーファーの興味はいつの時代も「最新のサーフィン」。特にその冬のハワイ ノースショアでの出来事には誰でも気になるところです。そのため”New〜”や”Hawaiian Footage”,”Plus New Sequences”などの文字がポスターに刷り込まれることになります。また全く同じ作品でタイトルが変わったり、過去の映像を使いまわしたり、別の監督作品の映像を借りてきたり結構いい加減なところもあります。音源についても無許可使用をしていたりするので、今では上映や販売ができないものもあります。

最後のサーフィン映画”Rolling Thunder”のポスター(筆者所有)

Title: Rolling Thunder
Year: 1991

Size: 34×48 cm
Producer: Scott Dittrich
Artist: John Enright
Origin: U.S. Issue: U.S.

では簡単にサーフィン映画を観るための手順を紹介します(藤沢市民会館編)。
上映の告知はサーフポイント付近の電柱やサーフショップに日時、場所が書かれたポスターが貼られます。またサーフポイントの駐車場に停めてある車のワイパーにチラシが挟まれていることもあります。チケットはサーフショップで前売り券を購入するか、当日会場で購入することもできますが、”Free Ride”の様な人気作品になりますと当日券が売り切れるので、前売り券を押さえておきたいところです。

夕方までサーフィンしたら一度家に戻り、シャワーを浴びてお気に入りのアロハなどに着替えて6時半には会場に着くようにします。当日券待ちの列を横目で見ながら開場と同時に入館し、席を確保します。その時チケットの半券は捨てずにしっかり持っていてください。会場内は飲食、喫煙禁止です(初めて観に行った会場はどちらもOKだったので、ひどいことになってそれ以後貸出してくれなくなったらしいです)。
上映前のロビーでは雑誌でしか見たことのない有名プロサーファー達やトップサーファー達がセクシーなファッションで着飾った可愛い彼女を伴って歓談しています。

7時になり場内が暗くなると一斉に歓声が上がり、画面いっぱいに巨大な波が映し出されます。最高の瞬間です。中盤になってマシンウエーブに完璧なチューブライドを観続けていると昼間の疲れからか意識が遠のいてきた…というところでINTERMISSION(休憩)の文字が映し出されます。

またもやロビーは社交場となり、今見た場面の寸評やボードの形なんかが話題になっています。
席に戻るとお楽しみ抽選会です。手に持っている半券には番号が印刷されていて、もう一方の半券がステージの上のボックスに入っています。スポンサーからの提供品のTシャツやタオル、ボディボードなどが抽選で当たります。中には新品のサーフボードなんかも出てたりします。ちなみに僕が唯一当たったのがサングラスでした。抽選会がひとしきり終わると後半のスタートです。

上映も終わりエンドロール見る間もなく、はす向かいにあるイトーヨーカ堂1階のデニーズに急ぎます。
デニーズではデニーズコンボとコーヒー(おかわり自由)を堪能し、カリフォルニア気分の1日が終わります。