第37回 あの頃の湘南Surfing(10)湘南サーフマップ1990【鎌倉】

第37回 あの頃の湘南Surfing(10)湘南サーフマップ1990【鎌倉】

湘南サーフマップ1990【鎌倉】

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記事は1990年に遡って書いています。また*印は2024年時点の注釈です。

サーフポイント1990【鎌倉】


鎌倉エリアのポイントは由比ヶ浜エリアを除きリーフボトムあるいはリーフ&サンドボトムなので波の立つ場所はある程度決まっています。80年代に入ってからポイント名が変わったり、細分化されて増えています。


大崎:干潮時には岩棚が現れるほど浅く、ウニや貝類、フジツボなどあるので危険。アウトサイドで一度ブレイクした波がうねりになって、素晴らしくほれ上るレギュラーとグーフィーのチューブが出現する。当然ここでサーフする人は充分なキャリアとレベルが求められ、良い波の日はプロやトップアマのセッションの場となる。湘南でサーフする人にとっての”最高のステージ”である。

カブネ:大崎同様浅い岩棚にスウェルがヒットする波は、時に8〜10フィートのスロープの長いレギュラーブレイクとなる。こちらも浅い岩棚に海藻やいろいろな生物がいるので危険。

(玉石):鎌倉時代の港湾だった和賀江嶋のところ。最近のサーフィン誌のポイント紹介では目にしなくなったポイント。良い時はグーフィーのチューブ波になる。ロングライド可能だが岸近くにまで乗るとフィンが石に当たるので注意。

由比ヶ浜:鎌倉エリア唯一のサンドボトム。波が穏やかで初心者向きではあるが、湘南で一番ウインドサーファーが多いポイントなので衝突に注意。

・(ビーナスポイント):ビーナスレストランの前。30年か40年に一度、レギュラーのパーフェクトポイントブレイクを見せるというポイント。最近のサーフィン誌のポイント紹介には出てこない。

稲村ヶ崎:日本を代表するグーフィーウェイブ。昨年5年ぶりに3回目となる「稲村ヶ崎クラシック」が開催された。第1回と第2回は「ナガヌマクラシック」の名称で81年、84年に開催された。
メインはアウトサイド、インサイド、キシベの3つのポイントだが、最近では岸壁、センター、大稲村のポイントが知られている。

岸壁:アウトサイドの東側のポイント。サイズがある時にブレイクするが、しばらくすると厚くなって消滅する。最初にメディアに登場したのは1987年サーフィンライフ誌の関野光延プロの記事かと思う。

アウトサイド:うねりの入り方でレギュラー、グーフィーどちらも可能だが、サイズが5フィート以上になるとグーフィーのみになる。一見良さそうに見えるレギュラーも、乗ると先が崩れ、その後ラインナップに戻るのに苦労する。

大稲村:滅多に立つことのない岬の沖合2キロにあるリーフで10フィートオーバーの巨大な波が立つポイント。

インサイド:岬の江ノ島寄りでブレイクする上級者ポイント。ピークは県営駐車場前。アウトサイドよりも更にパワーがあり、テイクオフが難しい。5フィート以上になると急激にカレントが速くなる。

センター:インサイドの江ノ島寄りのポイント。

キシベ:湘南一帯が強いオンショアの時にサイズのあるホレた波が岸辺でブレイクする(*1)。

ウバガヤ:浅いリーフポイント ポイントが狭く、急に掘れ上がる波なので上級者しか波をつかめない。

ゲンコツ:ゲンコツに似た石碑(*2)があることからこの名が付いた。この一帯134号線沿いに木が植っていてブレイクが見れないため比較的空いている。

への字:波の形が「へ」の形に似ていることからこの名が付いた。最初にメディアに登場したのは1983年「湘南 最後の夢の途中(冬樹社)」かと思う。

シチリ(七里ヶ浜):七里ヶ浜駐車場の西端。うねりの入り方と風によってレギュラー、グーフィー共にある。支部予選など多くの大会が行われる鎌倉サーファーのホームグラウンド。

ロア:行合川河口西側のポイント。うねりの向き、風が合えば掘れたチューブが出現する。

ミネ(峰ヶ原):レギュラー、グーフィーどちらも可。ロングライド可能な波。

こじき:134号線下にほったて小屋を建てて住んでいた乞食がいたことからこの名が付いた。比較的ロングライドできるレギュラーウエイブ。

カマコー前:江ノ電鎌倉高校前駅の前のポイント。レギュラー、グーフィーどちらも可。ピークが何ヶ所かに分散することが多いので波を取りやすいかも。

恵風園前:小動とカマコー前の中間、ちょうど恵風園の前あたり。80年頃までは東京からのビギナーが集まるポイントということで「東京ポイント」と呼ばれていた。

小動:1983年「湘南 最後の夢の途中(冬樹社)」では不動尊があることから「不動前ポイント」と紹介されていた。比較的穏やかなレギュラーウエーブ。

一本松:小動岬のアウトサイドでブレイクするレギュラーポイント。ダブル近くになるとグーフィーも良くなる。以前は「腰越アウトサイド」とも言われていた。

注釈(2024)
*1 キシベは今は砂がなくなり、消滅してしまったようです。
*2 げんこつに似た石碑は「西田幾多郎博士記念歌碑」というらしく、今は稲村ヶ崎公園に移動してます。


サーフショップ1990【鎌倉】

( )内は開店した年


①サーフボードONE(79):79年に稲村ヶ崎にオープンした行岡豪さんのお店。ボードは完全オーダー制のオリジナル。

②オーシャングライド(84):兵頭正和プロのお店。75年以前よりボードを製造していたが、お店を出したのが81年、ロア前に出店。84年に現在の七里ヶ浜駐車場前に移転。1階はレストラン&バーの「JJモンクス」。ボードは平野太郎プロシェープのオリジナル。ライダーは平野太郎プロ、平野杉プロ。

③ノーブランド(85):出川三千男プロのお店。ボードは出川プロとミッキー・ムニョス氏シェープの”デガワサーフボード”のほか”ホビー”、”ハンセン”、”ベルジー”といったカリフォルニアのロングボードも置いている。ライダーは工藤吉尚プロ。

④ドロップアウト(72):七里ヶ浜の行合橋から少し入ったところにある小川秀之(エド)さんと阿部博さんが立ち上げた鎌倉で一番古いお店。シェイパーは阿部博さんと増田昌章(マメ)プロ、そしてジョン・ブラッドバリー氏。ライダーは糟谷修自プロ、勝又正彦プロ、沼尻和則プロ。

⑤鎌倉ローカルタウン(82):関本荘一郎さんのお店。以前は「ホットバタード」や「オーシャングライド」と同じ場所にあったが、86年頃にわずかに江ノ島寄りの珊瑚礁モアナマカイ店の隣に移転。ハワイ風の木造のお店。お店の奥は「エンジェルダスト」というレストランになっている。90年閉店

⑥クアンズ(89):久慈英一郎さんのお店。日中はサーフショップ、夕方6時にバーになるというお店。ボードは久慈さんシェープのオリジナル。

⑦ホリデイ(81):山本舜さんのお店。ボードはシュンさんシェープのオリジナル。ライダーはオーストラリア留学中の息子山本四郎プロと松元祐子プロ。

⑧クレイジーアクション(86):石黒弘さんのお店。ボードは弟の石黒聡さんシェープのオリジナル。

⑨ラッシュ(79):ウエットスーツの「ラッシュ」のお店。セミドライは6万3000円〜。ボードは”シーバード”。最近はスキムボードにも力を入れている。

⑩デルマースポーツ(87):ボードはYUとロペス。スケートボードやスノーボードにも力を入れている。

⑪コスミックエネルギー(79):70年創業の鎌倉の老舗サーフボードビルダー鈴木健三さんのお店。ボードは鈴木健三さんシェープのオリジナル。

⑫ナガヌマサーフボード(85):75年には稲村、77年〜85年までは手広にショップがあったが、85年からは工場に隣接した場所に移転。ボードはオーナーの長沼一仁プロ、抱井保徳プロ、下重正則さんシェープのオリジナル。ライダーは関野聡プロ。

あのサーフショップ1982〜1989【鎌倉】

1982から1989年の間にあったが移転、廃業、退店などで90年には確認できなかったショップ。( )内は営業時期

スフィンクス[坂之下](75年以前〜88年頃):75年以前から坂之下にあるショップ。当時は「デューク」というレストランと同居していて、何回かの移転の後、83年から88年頃までは坂之下の「ロイヤルロブスター」の隣にあった。湘南でも早くからジェットスキーやウインドを扱っていたお店。閉店後の89年にはWSFのショップ「ファーイースト」がこの場所に支店「チャム」を出店。

マッコイ[稲村ヶ崎](82〜84年):70年代の「パイオニアモス」時代から続く「マッコイサーフショップ」も84年に閉店。サーフブティックの「稲村商店」に変わった。本国(オーストラリア)の「マッコイサーフボード」は84年に一度倒産したらしい。

BOMB /2WMS[七里ヶ浜](82〜89年):奥田哲さんのお店。87年に店名を2WMS(ツーダブリュマシンサービス)に変えサーフとウインドのお店となった。ボードは奥田さんシェープのオリジナル。89年閉店。*1

ホットバタード[七里ヶ浜](82〜87年):82年にロア前にオープン。84年に2軒先の「オーシャングライド」があった場所に移転。2Fに「ロア」というレストランがあった。87年ビル建て替えにより閉店。ジミー山田さんの「ドーンディストリビューション」は葉山に移転。

パステルスティック[七里ヶ浜](85〜87年):細田亜吐夢さんのお店。「ホットバタード」の隣に「ディテールズ」というブティックがあってその2階が「パステルスティック」。87年ビル建て替えのため閉店。

イージー[七里ヶ浜](77〜88年頃):峰ヶ原の134号線沿いにあった小沢敏明さんのショップ。ボードはオリジナル。ショップ閉店後も”EASYサーフボード”は継続。

フリーフォール[七里ヶ浜](83〜86):鎌倉高校前駅の近くにあったお店。83年オープン。ボードはオリジナル。

ゲイターコースト[七里ヶ浜](86〜88年頃):「フリーフォール」の後にできたショップ。

ファーアウト[七里ヶ浜](81〜85年頃):鎌倉高校の隣にあったショップ。

ダナポイント[腰越](89年?):沼田光博さんのお店。「スプラッシュ」というジェットスキーショップの隣にあった。

ウォーターウォール(大船)(83年?):83年に池袋に移転。

*1奥田哲さんは94年、材木座に「オクダスタイルサーフィング」をオープン。

サーフブティック1990【鎌倉】

ミスコースト:70年代には「パイオニア・モス」、その後「マッコイ」や「稲村商店」だった場所に89年オープンしたのが「ミスコースト」。インポートのリゾートウェアを中心に手作りのアクセサリー、水着も豊富に置いている。

SEADOG VIPクラブ:レストランの「シードッグ」も今や鎌倉発のアパレルブランドに成長。こちらはウエアの専門店【トレーナー6,900円〜、Tシャツ3,600円〜、トートバッグ7,800円】

D&Sカマクラ310:1989年にロア前に出来た商業ビル。70年代には「D&Sハワイ」、80年代には「オーシャングライド」や「ホットバタード」、「鎌倉ローカルタウン」があった場所。1階には「ドリームス」、「レインボーパパ」、「310」の3軒のブティックが入り、2階にはパスタ専門店「パスタジュリス」が入っている。

セブンマイルスクラブ:鎌倉高校前駅から坂を上がってすぐのところにあるおしゃれなお店。オーナーの上山さんが海外で買い付けた雑貨やグラス、カワイイ手作りのアクセサリーが人気。ギフトには素敵なラッピングをしてくれる。

ランドマーク・レストラン情報1990【鎌倉】

逗子マリーナ:逗子マリーナにはメインダイニング「セゾン」、中華料理「チャイニーズテーブル」、カジュアルレストラン「キャプテンズカフェ」、バー「ポイントアフター」がある。

セゾン:逗子マリーナが建設された1971年当時からあった「エルピラータ」が84年に北イタリア料理のお店「セゾン」になった。【純白のクルーザーレオ号の30分のクルージングとセゾンでの食事のセットがディナーで(11,000円)、ランチが(6,600円)〈5名以上の利用〉*1】。【サザエの香草バター焼き(2500円)、スズキのソテーういきょう風味(3800円)、小坪のアワビ焼き(8000円)*4】

キャプテンズ・カフェ:逗子マリーナにあるカジュアルレストラン。【早朝朝食サービス(1200円)、海の幸入りカレー(1600円)、海の幸のクリーム煮(2000円)、海の幸盛り合わせサラダ(1200円)*3】

チャイニーズテーブル:異国情緒たっぷりのマリーナにある中華料理もどこかエスニック風【点心(600円〜)、ホタテのクリーム煮(2000円)、季節のフルーツと海老の炒め(2200円)*4】

クイックシルバー:海外のリゾートレストランを彷彿させる由比ヶ浜を望むテラス席、2階には黒塗りのバーカウンターがある。サザエのつぼ焼きから新鮮な魚介を使ったフランス料理が楽しめる。辛さを順にABCに分けた11種類のカレーが人気【アフガニスタンカレー(A,1100円)、海の幸カレー(B、1200円)、若鶏とレーズンのカレー(C,1100円)*3】

シーキャッスル:1957年開業の日本在住ドイツ人家族が経営する老舗ドイツ家庭料理のお店。【ローストポーク(2000円)、ロールビーフ(3000円)、アイスバイン(4000円)*1】

ロサンゼルスクラブ:ついこの前まで「デューク」というレストランがあった場所。夜が早い鎌倉にあって深夜2時まで営業しているカフェ&ライブホール。5月から地下にディスコがオープンする。【カクテル(500円〜)の他、ピザ(600円)、カレー(600円)などの軽食もある。*1】

ロイヤルロブスター:ロブスター料理の専門店。オマール海老は週3回カナダから空輸される。【スチーム(4600円〜)、グリル(5200円〜)、クリーム煮(5200円〜)*1】

ベイサイド:パークホテルのダイニング。窓からは海を挟んで逗子や葉山の景色が見渡せる。コース【ランチ(1200〜3500円)、ディナー(5,000〜7000円)*1】

ヴィーナス:1958年オープンのこの辺りで一番古い洋食屋さん。90年公開の映画「稲村ジェーン」の舞台のお店「ヴィーナス」もここからとっている(確か映画にお店は出てこない)。店内には多くの観葉植物で温室にいるよう。料理はシーフードが中心【小エビのパイ包みグラタン(850円)、エビ、カニ、ムール貝などを盛り合わせたシーフードサラダ(850円)*1】、バイキング形式のパーティーなどにも対応してくれる。

メイン:稲村ポイントの目の前に古くからあるレストラン、大きな窓から江ノ島越しに見る夕日は格別。【とろ身まぐろの網焼きステーキセット(2400円)*1】【メイングルメディナー(7500円)、おまかせシーフードディナー(5500円)*3】

ONES バー:稲村ポイントの目の前。70年代には「カリフォルニアTシャツ」があった細長い建物。1階はカウンター、2階にはテーブル席もある。月に2階ほどジャズのライブ演奏がある。【カクテル(800円〜1200円)、バーボン(900円〜)*1】 

スシバー・カイ:稲村の県営駐車場となりに出来たスシバー。全てのメニューにワインとシャーベットが付いてくる。【にぎり(1500円〜)*5】鎌倉の御代川の経営。

珊瑚礁アロハ店:七里ヶ浜駐車場から線路を越えて坂を上がった住宅地の中にある本店は「珊瑚礁アロハ店」と言う店名になった。昔からあるお店だけど今はカレーが人気。【チキンとトマト(1000円)、貝柱(1200円)、近海あわび(2400円)、チキンのから揚げ(1000円)など14種類のカレーが揃う。昔からある名物ビーフサラダ(1200円)も健在*1】。

海犬茶屋:1983年オープンの白い蔵造り風の建物の「海犬茶屋」は「Sea Dog」の姉妹店。【ご飯に鶏の唐揚げをのせて野菜たっぷりのキムチ風味のあんをかけた鶏肉のキムチ御飯(1350円)、ポチ丼(1000円)、みけ丼(1000円)は開店時からあるメニュー*1】

SEADOG&海犬茶屋の灰皿、VIPカード、ネームカード、スタンプカード

JJモンクス:”オーシャングライド”の1階にあるレストラン&バー。【名物のワインプレートは骨付きソーセージ、クリームチーズ、マッシュポテト、サラダ、フランスパンに特大グラスワインが付いて1800円*1】

パスタジュリス:「D&Sカマクラ310」の2階にあるパスタ専門店。【サケやイクラが入ったサーモンクリーム(1200円)、トマトベースのカルボナーラ(1100円)、シーフードスパゲッティ(1200円)、ジュリスサラダ(1000円)*1】

珊瑚礁モアナマカイ店:134号線沿いに出来た「珊瑚礁」の支店。独特の石垣はマクタンストーンという珊瑚で出来た石で作られている。1989年公開の映画「彼女が水着に着替えたら」にも登場したお店。【マグロのマリネ和風ガーリック風味(1000円)、鴨ロース肉のステーキ和風おろしソース(2200円)*1】【伊勢エビぶつ切りカレー(1800円)、シーフードサラダ(1800円)*2】

注釈(2024)
*1 「ヨミウリスペシャルRout134(1990)」を参照
*2「Fine 1990年8月号」を参照
*3「ぴあ1 990年6/7号」を参照
*4「オズマガジン 1991年8月号」を参照
*5「Fine 1989年8月号」を参照


参考文献
「鎌倉市明細地図 昭和58年、60年、63年、平成元年、平成3年」明細地図社
「サーフィンワールド(SW))Vol.9 No.2/1976, Vol.10 No.5/1985, Vol11 No.1-9/1986, Vol13 No.2,3,5,7,9-11/19888, Vol14 No.1-12/1989, Vo.15 No.1-12/1990」オーシャンライフ社
「サーフライフ(S L)Vol.7No.1-12/1986, Vol.8No.1-12/1987, Vol.9 No.1-12/1988, Vol.10No.1-12/1989, Vol.11No.1-12/1990]マリン企画
「サーフィンライフJr.」Vol.1/1987,Vol.2/1988」マリン企画
「Fine5月号/1885、7月号/1987、8月号/1988、8月号/1989、5,7,8,9月号/1990、8,9月号/1991
「サーファー第1号/1987ー第45号/1990」サーファーパブリシング社
「ヨミウリスペシャルRout134/1990」読売新聞社
「ぴあ6月7日号/1990」ぴあ社
「オズマガジン8月号/1991」スターツ出版

🔳次回は湘南サーフマップ1990【藤沢】