第26回 あの頃の湘南Surfing(4)湘南サーフマップ1976【茅ヶ崎】

第26回 あの頃の湘南Surfing(4)湘南サーフマップ1976【茅ヶ崎】
2023-08-19

湘南サーフマップ1976【茅ヶ崎】

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記事は1976年に遡って書いています。また*印は2023年時点の注釈です。

サーフポイント1976【茅ヶ崎】

鵠沼辻堂に比べ沖が深いため、同じビーチブレイクでも太平洋からのうねりをダイレクトに受け止め、多様なブレイクを見せるのが茅ヶ崎。


チサン:辻堂、クソ下と同様の波質。左右の小さな川の河口前と中央あたりに春先や冬にサンドバーができるとチューブの波が楽しめる。


パーク下:パシフィックパークのちょうど正面辺りから左右に崩れる。鵠沼からの海岸線と茅ヶ崎海水浴場からの海岸線がぶつかる場所で、ここを境に同じビーチブレイクでもチサン寄りと西浜寄りで波質が異なる。*1


シラカバ前:レストラン白樺の前。テトラの影響か地形と潮が変化しやすい。


ショップ下:ゴッデスサーフショップの前。70年代初め頃はこの辺りにショップはここしかなく、当時のサーフィン少年の間で「ショップ下」と呼ばれていた。*1,*2


海水浴場:プールから防波堤までの茅ヶ崎海水浴場一帯


カボチャ:2本ある防波堤の東側の防波堤に沿って崩れるレギュラーのポイントブレイク


西浜:ビーチブレイクながら湘南随一のパワフルな波。ここが良い日はプロやトップアマのセッションが見れる場所。急に波が上がることがあるので近くに住んでいないと良い波を当てるのが難しい。
この辺りサイクリング道路が高くなっていて、より近くに見える絶好のビューポイントになっている。


柳島:西浜と似た波質だが人は少なめ、沖にサンドバーができるとパワーのある波がヒット。


馬入:茅ヶ崎寄りの防波堤に沿って崩れるレギュラーブレイクだが、10年に一度来るか来ないかで西側防波堤の先で崩れるレギュラー&グーフィーのパーフェクトウェーブが存在する。カレントと川の流れが複雑なので注意を要する。*3

注釈(2023)
*1  三橋敬一(モスケ)氏の寄稿「西浜ものがたり」より(SL Vol.2No.7/1981)  81年のサーフィンライフに掲載された16ページにわたる寄稿記事は三橋敬一氏の文と佐藤弘志氏の写真によるもの。西浜を中心に茅ヶ崎のポイントやローカルの様子を記した寄稿。当時の光景が眼に浮かぶ。


*2  上記三橋敬一氏の記事によると、このサーフキッズは、青田琢二氏、タブー榊原氏、宇佐美潤氏、津田明氏とある。 


*3 当時の河口には茅ヶ崎側の防波堤と川の中央に中洲のような防波堤があったが、今は中央の防波堤は平塚側の岸(漁港)と地続きになっている。河口は現在サーフィン禁止エリアになっている。

サーフショップ1976【茅ヶ崎】


①ドミンゴ:阿部川芳夫さんのお店、初めてサーフボードを買ったお店。
阿部川さんの奥様が素人の自分に丁寧に教えてくれた。「まずは安い中古を手に入れて海に行く。面白くて続けて行けそうならニューピンを買うといいよ」ということでマイサーフィンライフはスタートした(75年6月)。


ショップマイ:オーナーの小池正則さんがカリフォルニアやハワイで仕入れたウエアが豊富に揃えられている。すべて一品物なのも魅力。サーフウエアは街中では売っていないし、日本で一番の品揃えのお店。


サーフバム:茶色いウッドハウスに波のエアブラシの看板が掲げてあるお店は、ハワイで長く生活されていたジョージ藤沢プロのお店。


サンシャイン:1971年オープンの高橋和夫さんのお店。こちらも初めてのボードを探すときに寄ったお店。オーナーの和夫さん自らボード選びを親切に説明してくださった。素敵なボードがあったが予算外だったので断念。*1


ゴッデス:鈴木正プロが1964年に創業した日本で一番大きいサーフショップ。店内には魚切正人さんの絵が飾ってあって、外国のような店内。オリジナルのサムライウェットスーツも販売している。創業当初は「湘南サーフショップ」という名称で市営球場近くにあったらしい。


ビクトリー:海水浴場入口に建つ大きなモノクロの看板が目印。サーフィン用ウエットスーツ「ビクトリー」の直営店。*2


コスミック:ドジ(井坂啓美プロ)さんのお店。こちらもエアブラシの波の絵の看板が目印。ボードはコスミックサーフボード。

注釈(2023)
*1 高橋和夫さんにいただいた名刺が素敵で今でも大切にとってあります。


*2 「ビクトリー」は78年に柳島に移転。海水浴場入口の店舗はビクトリー直営のサーフブティック「サマーガール」になり、その後「タブース」になった。


***当時の茅ヶ崎海岸は、鎌倉藤沢に比べ松林も多く昔の湘南の風情が残る場所。日本で一番サーフショップが集まっていたのが茅ヶ崎。特に海岸から鉄砲道までの東海岸通り(雄三通り)には「ザ・レザーコネクション」、「ショップマイ」、「ドミンゴ」、「喫茶店らんぷ」、「サーフバム」、「サンシャイン」と並び、道ゆく人もローカルサーファーばかり。海外にあるようなサーファーズコミューンを感じられる街でした。


***このほか当時の茅ヶ崎のボードビルダーには柳島に工場があった宇佐美潤さんの「カントリーライン」がありました。


***翌77年には、134号線沿いに「サーフブレイク」、中海岸通り(サザン通り)に「パワーズサーフクラフト」がオープンしています。

ランドマーク・レストラン・ショップ情報1976【茅ヶ崎】


湘南チサンホテル:プール、ボウリング場が併設されているホテル。一画にマンションも*1


パシフィックパーク:1965年開業のレストラン、ボウリング場を備えた本格的リゾートホテル。江ノ島以西のどのポイントからも白く巨大な独特な形をしたビルが眺められる。

【ツイン7800円〜、7/1〜9/15は50%アップの料金になる。どの部屋からも海が見え、スカイバー・マーブルは星空を仰いでお酒も飲めます。室内・屋外プールもあって豪華な気分*2】

【10階のレストランサファイヤからの見晴は最高です。右には丹沢から富士山、正面に大島、左には江ノ島、その向こうに三浦半島という一大パノラマが展開します。ヒラメのムニエル(1200円)*3】


白樺レストラン/フジボウル:*1


らんぷ:茅ヶ崎ローカルの佐藤信雄(らんぷ)さんがオーナーの喫茶店。


ブレッド&バター:岩倉瑞江さんがオーナーのカフェ、毎週金曜の夜は湘南唯一のライブハウスとなる。ここの名物カクテルは”サーファーガール”。*4

総合情報誌”月刊シティロード 1977年8月号”に掲載された「ブレッド&バター」のライブ情報


キャラ:134号線から中海岸通りを駅方向に向かう途中にあるのがキャラ。【お店のおすすめはハム、エビ入りホワイトソースをかけ、チーズをのせて鉄板で焼いたあつあつスパゲッティカルボナーラ(450円)。*5】


シェルGS /レストラン カバナ:*6


ダイクマ:湘南の人なら誰でもお世話になっているカー用品からスポーツ用品、なんでも揃う格安ディスカウントストア。ウェットスーツも置いてある。

注釈(2023)
*1 ポイント名になっているチサンと白樺ですが、どの雑誌にも取り上げられておらず資料が見つかりませんでした。

美味しい店があるということで中学生の時に一度「白樺」に行ったことがありますが、ドライブイン・レストランといった雰囲気だった記憶があリます。この近辺観光地もなく、134号線沿いはドライブインのようなお店が多かったように思います。


*2 「遊びとおしゃれの最前線湘南(JJ 1976年8月号)」を参照


*3 「海辺はもう初夏(non-no 1975年5/5号)」を参照


*4 「カフェ ブレッド&バター」は岩倉邸の敷地に1975年オープンし4年間営業。その半年後辻堂東海岸のサーフショップ「ゴールドコースト(ゴッデス)」の2階に「ブレバタ2nd」をオープン。一年後小沢ジョージ氏が経営を継ぎ「リトルジョージ」となった。


*5 「GORO全都市カタログ湘南(GORO 1976年6/24号)」を参照


*6 ユーミンの”灼けたアイドル”に登場するレストラン。シェルGSは地図の目印としてよく目にしていたが、「カバナ」の存在は知らなかった。「僕らの茅ヶ崎物語」釈順正 編 によれば平尾昌晃や尾崎紀世彦ら芸能人もよく利用していたらしい。

参考文献
「茅ヶ崎市明細地図53年」明細地図社
「サーフィンライフ(SL))Vol.2 No.7/1981」マリン企画
「サーフマガジン(SM)Vol.5 No.3」サーフマガジン社
「スポーツノート④サーフィン」1978年 鎌倉書房
「ポパイ1978年6/20増刊 the Surf Boy1978」平凡出版
「GORO 1976年6/24号」小学館
「JJ 1976年8月号」光文社
「Non-No 1975年5/5号」集英社
「伝説の[カフェ・ブレッド&バター]」岩澤幸矢、岩澤二弓著 2011年 ワニ・プラス
「僕らの茅ヶ崎物語」釈順正 編 2019年 シンコーミュージック・エンターテイメント

🔳次回は6年後の1982年「あの頃の湘南1982」で会いましょう