当時日本で手に入るサーフムービーのサントラのインディーズ版といえば原宿のメロディハウスや湘南のサーフショップあたりでしか手に入らなかったと思います。それも”Five Summer Stories”とこの”Going Surfin'”ぐらいしかなかったように記憶しています。これは辻堂にあったサーフショップ Surf & Sundsで購入しました。
前回紹介した通り、この映画のコンセプトは「古き良きサーフィンデイズ」。タイトル曲の”Going Surfin”は60年代のサーフィンサウンドを彷彿とさせる曲。演奏はDan&Jeanとなっていますが、実はリック・ヘン。リック・ヘンは60年代半ば実際にザ・サンレイズというサーフィンサウンドバンドのリーダーをしていました。
64年、ビーチボーイズのウイルソン兄弟の父親でマネージャーをしていたマリー・ウイルソンがビーチ・ボーイズを解雇され、新たにマネージメントとしたのが、このザ・サンレイズというバンド。ビーチボーイズの対抗馬と捉えられていましたが、リックとビーチボーイズのカールやデニスとは同じ高校に在学しており親しい関係にありました。
映画では”Going Surfin”の色々なバージョンが使われていますが、アルバムにはオリジナルに加えインストルメンタル版とスローテンポ版”Surfin Sunset”が収録されています。インストルメンタル版はサーフムービ”インナーリミッツオブピュアファン”のサントラを手掛けた親友のデニス・ドラゴンがザ・プロテインブラザースという名前でリックと共演。”Surfin Sunset”では将来結婚することになるデニスの妹キャシー・ドラゴンと共演しています。
その他の参加メンバー
アル・オーキー(アル・ブレイキ):プロサーファーでミュージシャンであるコーキー・キャロルの”Laid Back”というアルバムに参加しており、デニス・ドラゴンがプロデュースしているサーフムービー”A Sea for Yourself”のサントラにも加わっています。今回参加したフレッド・カプランはアルを通じハリウッド・ファッツと知り合い、”Hollywood Fats Band”のメンバーになっています。ウエストコースト・ブルースのファンの方はこの”Laid Back”,”A Sea for Yourself”も試聴してみてください。
エイプリル・ファラドーサ、フィル・ホーキンス、ボブ・ホーキンス、デイブ・マクマホン、ドウ(ダグラス)・ミラー:あまり他のサントラには参加しておらず資料が少ないのですが、ドウはコーキー・キャロルのバンド”Funk Dog Surf Band”に加わっていたり、またエイプリルはコーキーとライブなどで共演していることからコーキーの人脈ではないかと思われます。
バル(バルジン)・ジョーンズはハリウッドで映画音楽に携わっており、本アルバムのプロデューサーであるマッギリブレイ&フリーマンの作品”Wave of Change”のサントラにも参加しておリます。
アリシア・コリー:サンタバーバラ出身のシンガーソングライター
デニス・フラートン:ブルースギタリスト(?)、本アルバムでは”The Good Old Surfin’ Daze”とコンセプトの曲を演奏しています。60年代のサーフィンサウンドにブルースロックっぽい感じがミックスされた印象です。
お気に入りのシーン
Sunlit Horizonの曲に乗せてのラリー・バートルマンのラウンドハウス・カットバック、オフザリップ、スイッチスタンスはとても気持ちいシーンです。そして…
デビッド・ヌヒワの66年伝説の10秒ノーズライド(バックはバル・ジョーンズのピアノソロ)から73年ツイン(デニス・フラートンのThe Good Old Surfin Daze)のシーンは最高です。
映像も音楽も楽しい作品です。(終)